電撃PlayStation】ただでさえ天

小説『ヴァンダル画廊街の奇跡』で、第16回電撃小説大賞・金賞を受賞した美奈川護先生にインタビューを行った. 『ヴァンダル画廊街の奇跡』の舞台は、統一された政府により、さまざまな芸術が規制を受け始めた世界. しかし、そんな世界各地の壁面に封印されたはずの名画が描き出される事件が起こる. 『Der Kunst Ihre Freiheit!(芸術に、その自由を! )』... 絵とともにそう書き残していく"アート・テロリスト"を、人々は敬意をこめて"破壊者(ヴァンダル)"と呼んだ. 政府を敵に回すという危険を冒してまで彼らが絵を描く理由とは. そして真の目的とは──? 本作の作者である美奈川先生に、執筆の経緯などさまざまなお話をうかがったので、ぜひご覧いただきたい. ――まずはじめに、本作を書いた経緯について教えていただけますか. 美奈川先生: イギリスに、アート・テロリストと呼ばれているバンクシーという芸術家がいるんです. 街中にゲリラ的に絵を描いたりする方なんですが、私はもともと絵が好きで、バンクシーの絵も好きだったんです. それで"アート・テロリスト"という言葉がおもしろいなと思い、そこからこの話が生まれました. ――実際にそういうアート・テロリストと呼ばれる方がいらっしゃるんですね. 美奈川先生: 今、アート・テロリストと呼ばれているのはその方だけだと思うんですが... . アートという平和な言葉と、テロリストという物騒な言葉の組み合わせのギャップもおもしろいなと思ったんです. ――なるほど. モデルがいらっしゃるとは思っていなかったので意外でした. 美奈川先生: バンクシーがやっていることと、作中でヴァンダルがやっていることは全然違うんですけどね(笑). 芸術大学を卒業していることもあり、何かそれを生かした作品を書けないかなとも思っていました. これまで、音楽や歌劇などを組み合わせた作品も書いていたのですが、今回は絵画を主題にした作品でようやく形になったといった具合ですね. ――作品を投稿されたのは今回が初めてではないんですよね. 美奈川先生: 電撃小説大賞は今回で4回目ですね. ――電撃小説大賞以外の賞には応募されていたんですか. 美奈川先生: ライトノベルは"電撃"一本でした. 大学3年の時から1年に1回書いていました. 年中行事ですね. 「今年やらなくてもいいんだ」と思うと楽になりました(笑). 過去3回も、2次や3次といいところまで行っていたので. 4度目の正直でしたね. ――そうだったんですか. 今作の執筆期間はどのくらいだったんですか. 美奈川先生: 下調べの期間が半年ほどあって、実際に書いたのは3カ月ぐらいでした. やはり実際にある絵や街の資料が必要だったので、本を読みながら調べていました. ――資料集めは図書館などで? 美奈川先生: 図書館で本を集めたり、欲しいものは買ったり... あとはGoogleストリートビューが便利でしたね. 私の大好きなウイーンを見られないのがネックなんですが(笑). ちょっとストレスが溜まるとスイスの田舎町を徘徊したりとか. いい暇つぶしになりますね. ――確かにストリートビューは、そこにいるような感じで見られますもんね. 美奈川先生: たとえばこの広場にはベンチがあるとか、細かいところまで見られるのがいいですよね. 美術館の資料などを見ても、そういうところまではわからないので... . ――舞台の舞台にも魅力がある作品だなと思ったので、今の話を聞いて納得しました. 美奈川先生: キャラクター小説というものが、ライトノベルの一種の在り方だと思っているのですが、私はこの小説を"背景小説"だとも考えていました. イラストも、背景を描くのがとてもきれいな方を選んでいただいて... . 表紙にも、背景は必ず入れてと無理なお願いもしました. 非常にきれいな表紙を描いていただいて、とてもうれしいですね. ――実際にイラストをご覧になっていかがでしたか? 美奈川先生: 望月先生が、キャラクターのラフなどを本当にたくさん描いてくださったんです. 頭の中に背景のイメージはあったのですが、キャラクターのイメージはなかったので、望月さんに「このキャラクターはどういう感じなんですか? 」と聞かれて、わからなかったのでお任せしてしまいました. 顔も10パターンぐらい出していただいたのですが、普通なのでしょうか. ――10パターンは多いと思いますね. 美奈川先生: 半分は、望月先生のお力でできていると思います. 主人公のエナも、すごく小汚いオーバーオールを着て走り回っているイメージだったのですが、非常にかわいい服を着せていただいて、「かわいくしてもらえてよかったね」と思いました. ――エナが、作品の中で飛び回ったりするエネルギッシュなイメージがあったので、イラストがとてもかわいいデザインで意外でした. 美奈川先生: アリだな、と思いました(笑). ――私自身、あまり絵に詳しくなかったのですが、最後まで非常に楽しく読めました. 絵を知らない方が読まれることも意識されましたか? 美奈川先生: 絵の現物をどこかに入れられればよかったのですが... . そういうわけにもいかないので(笑). 今回の作品では、ゴッホピカソなど、誰でも知っているような絵を主題に使わせていただいています. それだけでなく、私が絵を見て感動したことなどを、文章にして伝えようと思いました. 絵に対して感じたことを文章にするのは苦労しましたが、それがこの作品のテーマの1つでもあると思っているので、気を付けましたね. ――確かに、題材になっている絵がメジャーなものなので、イメージがしやすかったですね. 今少しお話に出ましたが、作品を書くうえで他に苦労したことなどはありますか? 美奈川先生: 舞台が地球規模なので、とても広いんです. 作品の1つの狙いとして、世界を描きたいといったものがありました. 実在するさまざまな都市が舞台になっているので、その資料集めや描写が大変でした. 先ほどのストリートビューで各地をぐるぐる回ったり、地球の歩き方を読んでみたり、そういった面で苦労しましたね. 実際にすべての都市に行ければいいのですが... . ――都市の描写について、書き上がったものを見ていかがですか? 美奈川先生: 100%再現できているとは言えませんが... . まぁ、私の中でも実世界のパラレルワールドだと思っていますので、多少現実にそぐわない部分があっても大目に見ていただきたいです(笑). 雰囲気を感じ取っていただければなと. ――一見現実的な話かと思いきや、SFのような技術も盛り込まれていますよね. 美奈川先生: 私はこの話を、SFでもファンタジーでもなく、一種のおとぎ話のようにイメージしていたんです. ただ、おとぎ話を成立させるためにもSF的なギミックが必要になってきました. なので、おとぎ話の雰囲気を壊すことなくSFのギミックを入れ込んで、そのバランスを取るのが大変でしたね. 現物の絵というノスタルジックな、原始的な文化が主題になっていますので、そこにSFの要素を入れるのが難しかったです. ――相棒のAI・ネーヴォが、無数のケーブルを巻いて鳥に擬体して飛び回るというのはSF的なギミックですよね. 美奈川先生: ネーヴォはドラ●もんだと思っているんです(笑). どこで●ドアもありますし. なんでもありなので、ちょっとどうかと思ったんですが... . ――個人的な感想になるんですが、読んでいて躍動感があるといいますか、映像で見たい作品だなと思いました. アクションシーンに工夫などはあったのでしょうか. 美奈川先生: 背景小説ではあるのですが、きれいな絵がバッとビルに下ろされて白いカケラが散るといったシーンなど、頭の中で映像化して書いてはいますね. キャラクターがイラストになって、頭の中でイメージができたので、再稿する時に少し直した部分はありました. ――インラインスケートのギミックなどは、スピード感があっておもしろかったですね. 美奈川先生: 主人公が行動的な女の子という設定なのですが、あくまでもこの子は一般人なので(笑). 相棒が人間離れしているので、その釣り合いを取るというところで、いろいろ考えたのですが、エナを動かしたいという思いもあったので、インラインスケートを使おうと考えましたね. ――作中で、気に入っているシーンはありますか? 美奈川先生: 見どころはたくさんあるのですが、一番力を入れて書いたのは、2章のラスベガスのシーンですね. 2章だけは、直しの段階で大きく修正しました. 実はあのお話は、単体で別の作品として書こうと思っていたものなんです. 途中まで書いて放っておいたのですが、今回ここに組み込んでみようと思いました. ――確かに2章は、話全体を通してみると少し異色といいますか、1つの話としてまとまっていますよね. 美奈川先生: 最初は連作短編の形式を取っていたのですが、長編小説として1つに収束させる必要があると考え、3章から5章にかけて大きな事件を描いています. ですので、1話と2話の、主人公以外の視点をもとに1枚の絵を絡めて進むストーリーは想い入れがありますね. →小説を書き始めたキッカケは? (2ページ目へ). アメリカ軍が最も恐れた日本帝国軍人. 日本人が最も命を賭ける価値があると思える上司. それが聯合艦隊司令長官、山本五十六. 太平洋戦争開戦から70年. たった70年であの戦争が完全に忘れ去られようとしている今こそ、改めて日本人が問うべきもの. この国が乗ったバスはどこへ向かうのか. 我々はどこに向かうのか. 誰よりもアメリカとの戦争を反対していながら太平洋戦争開戦の火蓋を切らざるを得なかった山本五十六長官. 常に「海軍は国防である」という魂の下、かつて伊藤博文日清戦争を始めると同時に講和に持ち込むための戦略を立てたように、戦力も国力も日本の数十倍のアメリカに対し先制攻撃を仕掛け、こちらの戦力が乏しくなるのがバレる前に講和条約を結ぶ道筋を探っていた山本長官の姿とは相反するように、日本は大東亜共栄圏を「国防」と履き違えた陸軍大臣出身の東条英機首相により終着点のないバスに乗り込んでしまったという史実. 本当に国を憂う者の意見が通らず、マスコミが偏重報道を繰り返し、先読みのできない外交下手が国家を混沌とさせる姿は今も昔も全く変わらない日本は、改めて忘れるのが上手な民族だと思いましたよ. でも本当に忘れてはならないのは、やはり長岡藩是「常在戦場」を座右の銘とした山本長官の人となりでしょう. 会議の席でも根拠のない意見や思い込みを徹底的に退け、アメリカと一戦交える以上は刺し違えてでもの精神で挑み、手帳には戦死した部下の名前を書き止める. 開戦が決まった日も家長制度の厳しい軍人の家にあるにもかかわらず、子供たちの後に味噌汁を飲み、そして若い命が失われる戦争を始めることのどこがめでたいのかと言わんばかりに鯛には一切手をつけない食卓. また長官でありながら心は常に戦場にいる兵士と共にあるかのように、口にするものはスイカ、長岡の水饅頭、瀬戸の鰯、干し柿、田舎餅、お汁粉といった質素ながら戦場にいる時に一番口にしたい「故郷・日本」を思い出すものばかり. つまり山本長官の「常在戦場」は、常に戦場にいる兵士の心構えで事をなすだけでなく、常に最前線で戦う者を誰よりも大事にする姿であり、またその想いの先には常に日本の未来を憂い、常に明日の日本を作る若人の命を守りたいという願いでもあるんですよね. ですからこの人のためなら命を賭けてもいいと心底思える軍人たちが、その命を賭してでも帰還できぬならと特攻機となり、刺し違えてでもと戦艦飛龍と共に沈み、ガダルカナル島から一人でも多くの命を救いたいと危険な護衛任務で命を落としていく. その姿が日本人として涙を流さずにはいられないこと. そして何よりもラバウルで迎える最後. 機内で被弾しようとも、既に覚悟は出来ていると言わんばかりに微動だにせず、しっかりと前を見据えるその眼差しは、江田島に残した井上成美に日本の未来を託した眼差しなのか、それとも講和に持ち込めず多くの若い命を失った無念を感じる眼差しなのかは分かりませんが、ただ言葉を失うほどのその美しき姿に誰よりも平和を願った山本五十六長官の熱き思いだけは強く感じました. 新聞記者・真藤をストーリーテラーに、役所広司さんを始め、その役所さんのオーラでより渋く見える日本を代表する豪華俳優陣によって織り成されるこの歴史映画. 70年前と似ているこの時代の日本. 改めて平和への最後の戦いとして総員出撃しなければならない日が近づいている. そんな時代に我々は生きているのではないでしょうか. 深夜らじお@の映画館 もこんな上司の下で働きたいです. ※お知らせとお願い ■ 【元町映画館】 に行こう. こんにちは! 連日の真夏日のせいで、会社に到着すると汗ビッショリなアラサ―編集ヒナオです. 今回は、7月29日に池袋GIGOで開催されたPS Vita用ソフト『初音ミク -Project DIVA- f』の体験会の模様をお伝えします! この日は"Touch&Try Tour 2012 summer"と称された全国を回る体験会ツアーの第2回目. 参加した人は、キュートなミクさんがプリントされたネックストラップとうちわがプレゼントされます. 今回の目玉はOSTER projectさんによる、本作のための書き下ろし楽曲「サマーアイドル」が初めて試遊できるとあって、大勢のファンで会場は大盛り上がり! 池袋という場所柄なのか、女性の参加者が非常に多く見られました. 参加者がメッセージを書けるノートも. イラスト付きのメッセージも多数. じつはこのイベントの前々日に、次号の電撃PlayStation Vol.524のためのプレイ取材で何曲かプレイさせていただいたのですが、『サマーアイドル』はこのイベントで初体験. ミクとリンのかわいらしいダンスと、どこか懐かしさを感じさせる曲調がナイスでした! OSTER projectさんいわく"水着に合う曲というオーダーを受け、かわいくもレトロなアイドルソングを作った"そうです. 会場にはOSTER projectさんと林プロデューサーも登場! クレープおいしそうです. 9月末までの期間限定で、池袋GIGO店舗脇のクレープ屋さんの包み紙がミクさん仕様に! この曲のPVでミクたちが着ている水着は、前作の『初音ミク -Project DIVA- extend』のものから一新されており、プロデューサーの林誠司氏からはからはこんな裏話も. 「この水着は、ミクとリンが一緒に買いに行って、お互いの水着の髪飾りとシュシュを交換したという裏設定があります. なので、リンのシュシュは水玉で、ミクの髪飾りは縞縞模様なんです」. むむむ、そんな設定が隠されていたとは... ! 記事担当編集として、これらのモジュールはよく見てたはずなのですが、全然気づきませんでした(笑). 「えっ! そうなの? 」と思った方は、現在発売中の電撃PlayStation Vol.523に記事が載っているので、確認してみましょう(宣伝! ). ちなみに、来週8月9日に発売される電撃PlayStation Vol.524では、『初音ミク -Project DIVA- f』を表紙&巻頭大特集! プロデューサー林氏のインタビューも掲載しています. そこでも、ファンなら見逃せない新情報や開発の裏話をバッチリ聞いているので、ぜひぜひチェックしてみてくださいね♪ (電撃PlayStation編集 ヒナオ).