ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

それでも人生は素晴らしい. 見終わった後に自然とそう感じる完成度の高い映画でした. 『フォレスト・ガンプ一期一会』のように一人の男を狂言回しに描いてい... それでも人生は素晴らしい. 見終わった後に自然とそう感じる完成度の高い映画でした. 『フォレスト・ガンプ一期一会』のように一人の男を狂言回しに描いていく人生ファンタジーなんですが、こちらの方がより大人向けといった感じでした. そしてブラッド・ピットファンはあらゆる意味で必見の映画です. もしこれを見逃したらブラピファンとして完全失格だと断言できます. 冒頭から印象的だったのはたくさんのボタンの上に映し出されるワーナーブラザーズのロゴ. ワーナーがロゴで遊ぶ時は必ず何か意味があるんですよね. でも前半は予告編で見た通りに進んでいくので、正直そんなに印象的なシーンなどないように感じたのですが、タトゥーだらけの船長と出会ってからは、実はベンジャミンが出会った人全てから影響を受けているということがが分かってくるんです. かつて「出会った全ての人が人生の師である」という言葉を聞いたことがあるのですが、まさにこの映画はその言葉を映像化したようなもの. 外の世界に連れ出してくれる黒人の老紳士も、7回も雷に打たれたという老人も、女遊びを教えてくれた船長も、肌の色が違うのに育ててくれた両親も、ピアノを教えてくれた淑女も、英仏海峡断泳の夢を諦めたエリザベスも、そして自分を捨てた父親も全てベンジャミンの人生にとっての師匠. 視野が広がる喜び、人生への警告、男としての悦び、家族への愛、他人を憂う心、過去への後悔、そして自分自身のあるべき姿. その全てがデイジーをどう愛するかという答えを導くための人生教訓. そして人と人との出会いというのは、まさに衣服をボタンで繋ぐように何かしらの縁で繋がれているもの. ボタンの数だけ人生には出会いがある. ボタンの数だけ自分には人生の師がいる. そんな奥深さを感じましたよ. だからこそベンジャミンがデイジーの前から去ろうとする気持ちも分かるんです. 彼は歳を取るたびに若返っていく人生. みんなのように見た目も老いていくことがない分、より疎外感や孤独感を感じてしまう. もし普通の人生だったら、それこそジッパーのようにデイジーと2人で末永く暮らしていけたはず. でもデイジーとベンジャミンの人生は相反するもの. 2人が見た目も満ち足りて一緒にいられる時間は、2つの布をボタンで繋ぐように時間軸ではほんの一点のみ. たくさんの人と出会い、たくさんの人と別れ、たくさんの人と再会するベンジャミンは自分自身のことが分かれば分かるほど、人とは違う分より孤独を感じてしまう悲しき人生. デイジーを愛しているから別れなければならない、でももう一度逢いたい. アディゼロF50 そんなベンジャミンの悲しさと淋しさをデイジーが理解し、最後まで彼の人生を見届けてあげたのは凄く嬉しく感じましたね. 恋人に限らず、自分には愛する人がいる、愛してくれる人がいる. そのこと自体が永遠と思えるものなんでしょう. そしてブラッド・ピットファンとしてはまるで彼のこれまでの風貌とこれからの風貌を一気に見れたようで最高でした. 特にモスクワで不倫している時のダンディさは20年後くらいのブラピを想像させてくれますし、またデイジーとバレエ教室で再会するシーンでは『リック』や『リバー・ランズ・スルー・イット』の頃のブラピが帰ってきた! と感動してしまいましたもん. とにかくブラピの映画を見続けてきている人なら、きっとこの思いは理解してもらえると思います. ケイト・ブランシェットのクールビューティーさも素敵でしたが、ブラピファンとしては彼の美しさを堪能できた気分でしたよ. 深夜らじお@の映画館 は男性ですけど、ブラピファンです.